藤本壮介氏設計の表参道ブランチーズ

建築

キャットストリートから少し入ったところに藤本壮介氏設計の表参道ブランチーズ(2014年11月竣工)が建っているので覗いてきました。

新建築の2015年7月号にも載っているので、建築界隈の人は一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。

枝から樹木が生えたようなファサードデザイン

建物概要は延床面積350㎡程度の4階建てRC造の店舗とオフィス。

前面道路しか接道しておらず、そこに斜線制限が掛かります。そこに合わせたファサードの傾斜部分を立体格子状のコンクリートで構築している建築です。

この格子状の躯体は樹木を植えてプランターの役割も果たしており、コンクリートの枝(ブランチと呼ぶことにします)の先端に樹木を植える構成になっています。

商業施設では、敷地に対して延床面積をなるべく確保することで、貸床面積も増やし、その賃料で事業として成立させることが事業主の主目的でもあるので、今回のように土地に対して貸せない面積を大きく取ると、見込まれる利益が減ってしまう傾向にあります。

どのような経緯でこのデザインになったのかはわかりませんが、それでもこの建築をこの地価の高い表参道で成立させているのは事業主、設計者の間で様々なやりとりがあったであろうことが推察されます。

樹木は落葉樹なので、季節を感じることができます。

なかなか良い色付き具合でした。

右側の側面です。この写真では隣接建物の壁が有るので見難いですが、階段の奥にこの建築の壁が見えます。よく見るとブランチとなる躯体と壁部分に目地が入っています。見難い側面であっても枝状のフレームの中に各ボリュームが埋まっているような構成を見せたい意図が伺えます。

正面低層部です。

1階部分は店舗と上階オフィスへのエントランス。

地上レベルから生えているブランチフレームの目の前にはブランチと同じ断面サイズのプランターがあります。こちらは鉄製です。

写真右側がプランター側です。足元はコンクリートで途中から鉄になっています。

プランターの水抜き穴です。

ブランチと同じような形状で揃えたのでしょう。

樹木はより広がって生えるようにするためか、幹の間にスタイロが嵌めてありました。

ライトアップ用の照明器具もここにセットされています。

上階も同じようなパターンの繰り返しです。

あくまでブランチフレームの中にボリュームが埋まっている構成なので、フレーム内に嵌っているようにテラス空間が作られています。

素材もコンクリートと金属で色も分けています。

エントランス上の建物名称サインは繊細な作りです。

フレーム部分はよく見ると微妙にPコン跡が残っていますね。

上階のプランターも1階レベルと一緒で鉄で作り、水抜きが設けられています。

エントランス。

変わった庇の納まり。ガラスを吊って勾配を取って左の壁の外側へ。

落下防止の手摺を兼ねたガラス。フレームはなるべく存在を消しています。

躯体の精度は気になりました。汚れが目立つところは比較的凹凸が多いところでした。場所的に汚れやすいところも仕方ないとは思いますが、低層部分は是非メンテナンスして欲しいですね。

側面から見たところ。水抜き穴が見えます。竣工してからの期間を考慮すると早い気もしますが錆が出ています。水やゴミが溜まりやすい場所ではあるが・・・。

中々電線が多い通りでしたが、やはり存在感はありました。

さいごに

流石に上階オフィスに入ることは出来なかったので、外観だけの見学でした。中にいると森のような自然の中にいる感じを享受できるのでしょうか。南側に面していればより、効果的だったかもしれませんね。

これから樹木がどこまで育っていくのか。大きさの限界はあると思いますが、もっと大きくなれば、より建築の存在感が消えていく感じがします。

また数年後に訪れて見てみたい建築でした。

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