ザハ建築/香港理工大学のジョッキー・クラブ・イノベーション・タワー
香港はかなり建物が密集しています。この紅磡もそこそこ密集しているエリアですが、適度なオープンスペースがあり、各建物の全体像が分かるようになっています。
立体的に道路が張り巡らされ、建物一つ一つのフットプリントが大きく、日本でいうと汐留が近いかもしれません。
エントランスはセットバックしており、建物の全体像が分かるように配置計画、形状の決定がされています。この建物の大学における意義を考えると非常に恵まれた敷地と言えます。
エントランス横のスロープには学生が集まっていました。この角度からですと周囲の建物とかなり距離があるように見えます。
天気が悪かったのでコンクリートが濡れています。奥の手摺もシンプルですが一品物の製作ですね。
庇のアルミのディテール。目地は揃えます。
1階は躯体からセットバックさせて雨避けの空間を生み出しています。出入口の扉はさすがに垂直です。
3D形状のRC面に設ける開口はやはりセットバックされています。
下部の外壁はRC躯体のままのところとアルミパネルの部分があります。
構造はRC造ですね。
構造体自体が単純な形状ではないので、構造体としての品質確保は大変だったと思います。
サッシ、軒天、構造体の取り合い。更に電気の配線まで。隠すスペースが無いこういう納まりは事前に検討しきれなかったのかもしれない。
Pコンの穴埋め不十分なところも。
RCの品質は打ちっ放しにしてはもう少し頑張って欲しいところでした。
エントランス上部の吹き抜け空間の内壁。非常にキレイに作っています。わずかに照明の配線が見えます。日本だったら許されない部類の納め方ですね。点検口も見えますが気になるのは建築屋くらいでしょう。
エスカレーターからエントランスを見ます。香港のエスカレーターはどこでも足元の巻き込み防止の安全対策がされているイメージです。
一番特徴的な空間です。2階から9層まで吹き抜けており、2つの牡蠣のようなボリュームを繋ぐところにある階段です。非常にかっこいい。ここで写真を撮っているグループがたくさんいました。
ライン状の間接照明と浮いているような階段は近未来な感じがするとともに、石膏の素材感、アール(丸みの帯び方)から手に触れると素朴で、身体に馴染む印象を受けました。
この空間が「何となく繋がっている」感じを演出し、体験することができます。
写真を撮っているグループ。階段の幅が広くないこともあり、小さなコミュニケーションが生まれる場になっていました。
トップライトが見えるところまで来ました。写真で見ると線形の照明が印象的ですが、体験としてはうるさく感じません。
階段の見下げです。左のガラリは排煙設備室に繋がっています。
2つのボリュームを繋いでいる吹き抜けの見上げです。
吹き抜けの周囲にはオープンスペースと家具が設けられています。勉強している学生も結構居ました。
スロープです。上層階に行くとちょっとした段差がある部分が増える印象でした。バリアフリーのルートは確保されていますが、配慮は最優先ではなさそうです。
展示ブロックが斜めに取り付けられています。まるで床が傾いているように見えますね。
教室内は直天井です。ここにはコストを掛けないで機能重視です。階高は結構あります。
ブラインドが斜めです。不定形な形状の教室ですが、大学という用途、授業やゼミの形態次第ではそこまで問題にならない気もします。奥に柱も見えますね。共用部ではほとんど構造体は出てきませんが、教室内にはあります。
空調のガラリや火災報知機などの設備は少し窪んだところに配置されています。
壁付けのスプリンクラーもタダでは飛び出しません。
入隅は凹ませることで陰影をつけてはっきりとしたラインを出すことを徹底している印象があります。
ここもそうですね。黒い影が出来てラインをはっきりさせると共にグラデーション掛かっています。
こういった小さな吹き抜けが散りばめられています。
鋭角的な開口とサッシの取り合い。
EVホール。少しカチッとした印象です。
サインは無駄を省いています。
学生が作ったのか、デザイン検討中のモデルのような物があちこちに置かれています。写真左の外装のディテールはすごいですね。目地が斜めに入っていながらもパネル1つ1つの形状が異なっています。2Dでは不可能です。建物全般をArupと共同でBIMで製作しているからこそ可能になったデザインです。
1階の男子トイレですが、露出配管。暗い印象でちょっと苦手な空間でした。
金属の便器は衛生的な配慮に欠ける印象がありました。
次の記事でもっと部分詳細、見ていきましょう。
コメント