岡山建築ツアー個別特集最終章は岡山大学津山キャンパスにあるJテラスカフェに行ってきました。
名前の通り、先に回った鹿田キャンパスの Junko Fukutake Hall と同じく福武純子氏の寄贈によるものです。
ホールの後に、このカフェが出来ました。
これで岡山大学の2つのキャンパスの顔となる場所に福武純子氏寄贈・SANAA設計の建築が出来たことになります。
「合理的で寛容でボーダレスな出会いの場」
「自由で愉快なコミュニケーションを誘発する場」
「セレンディピティを生み出す場」
コンセプトは非常に明快です。カタカナを読むと更にわかりやすい。ボーダレス、コミュニケーション、セレンディピティです。念のため、セレンディピティ(serendipity)は素敵な偶然に出会うことですよ。
規模は
・カフェスペース:149.17 m²(可動席34席,固定席6)
・屋根下スペース:419.86 m²
と小規模のカフェです。
Jテラスカフェへ向かう
岡山駅からは「岡山駅西口」から20分おきに出ているバスで約6分。「岡大入口」で降ります。そこから徒歩5分で到着です。
バス停から歩いて岡山大学へ向かう道からみた様子。紅葉の時期だったので、正面の山が綺麗です。街路樹も銀杏並木で秋真っ盛り。日も傾いて来たので急いで向かいます。
岡山大学のエリアに入るとすぐ左手に見えてきました。今回の目的であるJテラスカフェです。非常に良い立地。周囲は開けた芝生になっていて、すぐ目につきます。確かにここで何か活動が行われていたら、偶然目にすることはよくある光景だなと想像できます。
サインと白い壁がマッチしています。
駐輪させないように立て看板があります。このあたりが自転車だらけになると景観が非常に悪くなりますからね。やはり大学入口の顔としてここは守りたいところです。
カフェのメニューも見てみましょう。東京に比べるとお得ですが、学生には少々お高い値段設定では。今回はお姉さま方がお茶していらっしゃいました。野菜たっぷりランチ・・・気になります。
Jテラスカフェを見て回る
建築南北の端部に行くと全体像がわかります。
ランダムな細い柱、屋根と呼応するかのような土間コンクリート。芝生の中に森が出来たような感じですが、非常に透明性のある森という印象があります。
屋根の形状はよく見るとみ雨水の流れをコントロールするように勾配がありますね。
それにしても屋根が薄い。
カフェ側を見ます。この時間帯は照明がついていませんでした。週末ということもあり、人もあまりいませんでした。普段はもっと人がいるのでしょうか。小さなテーブルのような家具も置かれています。
部分的に壁があります。左手前のステンレスの箱は消火器です。丸いベンチのような家具もあります。周囲のランドスケープも僅かに隆起したり、変化のある外構になっています。
出入口部分。建具はフロアヒンジを埋込。中心吊りではなく、持ち出して一方開きにしています。持ち出すところはどうしても枠が出ますが、それ以外は極力ガラスにしている納まりです。戸当たりも埋め込まれています。
ガラスの曲面が面白いですね。バックの山々とも有機的な形状が調和しています。
丸い家具、至る所にあります。
通り側を見ます。カフェ内部も少し見えますね。丸みのある家具で揃えられています。
床の土間コンクリートも見てみましょう。鹿田キャンパスのホールではある程度方向性があるように仕上げられていましたが、こちらでは方向性を持った仕上げになっていません。
なんとこれは机でしたか。確かに座るには少々高いですが・・・この張り紙は不本意ではないでしょうか。デザインの負けですかね。確かに人が座るには家具の足のスパンが飛んでいるので座るまでの強度が考慮されていないのでしょう。でも椅子だったらもっと人が集まりやすいかも、と思いました。
壁と柱の屋根との取り合いを見ます。実は面落ちになっています。
通り側からカフェを見ます。
このアングルはいい感じです。けもの道のような跡も曲線を描いているのは狙い通りなのでしょうか。
中の活動が丸見えなのですが、屋根が思ったより庇として跳ね出しているので、中にいる人は見られているという印象は少ないかもしれないですね。
カフェのバックヤードスペースは非常にコンパクト。
机の家具も横から見ると面が薄いんですよ。存在感が消えています。
消火器。なぜこの配置、この素材なのかは謎が残りますが、通り側に消火器の文字を見せないで裏側に文字を持ってきたのは消防とちゃんと協議した結果によるものでしょう。
土間と芝生の境は微妙な高さ関係です。エッジが丸みを帯びています。
屋根の雨水が流れ落ちるところです。ちゃんと水切りがあるので思ったより綺麗に保たれています。ここで水か切られていなかったら天井面まで汚れの跡が残るようになっていましたね。
家具の裏側を見ます。この薄い軽やかな家具はどう作られているのか。亜鉛メッキのアングル材が通されていました。繋ぎは嵌合式です。
SUSの足とは当たらないようにしています。電食が起きてしまうから、ですかね。
繋ぎの部分です。ここは厚みのあるプレートでしっかりと錆止め塗装、ビス固定されています。
以上、規模も小さいのでざっくりと見て回りました。
美しく設えるために細かな仕掛けがありましたね。
日も落ちそうなので、この辺で岡山大学を後にします。時間があればカフェにも入ってJブレンドコーヒーを飲みたかったな・・・と思いながら足早に岡山駅へ向かって歩き始めます。
岡山建築ツアーも最終章です。
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