安藤忠雄建築研究所の設計 『おかやま信用金庫 本店内山下スクエア』

中国地方/Chugoku

おかやま信用金庫 本店内山下スクエア への行き方

岡山建築弾丸ツアーの特集 第四弾

最初に言います。非常に良かった。

何が良かったというと、「人」です。

発注者と設計者の関係が良好だったことが訪れただけで分かりました。

良い関係は良い空気を作り出すものだなぁと改めて実感しました。

場所はこちら。岡山電気軌道の県庁通り駅から徒歩2分。岡山駅からは徒歩で20分くらいです。岡山建築ツアーの中では、山陽新聞社本社から岡山県庁舎へ向かう途中で寄りました。

概要・外観

大通りの反対側から見た立面です。低層部はRC、上部は円柱形のようなガラス張りの構成となっています。

用途は信用金庫の本店。創立100周年記念事業のようです。4階まであり、最上階にはラウンジやホールが設けられています。

もう一つの道路側から見た様子です。緑化がかなり印象的です。コンクリートの目地のラインはテラス部分の外壁の中心を通しています。

アルミカーテンウォール。流石にガラスはアール形状ではないようですね。庇も結構大きく出ています。

内部からエントランスを見ます。奥に見えるのはルネスホール。岡山城二之丸跡に建設された旧日本銀行岡山支店を保存再生したものです。実はこの旧日銀岡山支店を保存再生した業績は2012年の日本建築学会賞にもなっています。(こっちも時間があればしっかり見たかった・・・)この周辺環境との関係性からこの建築の配置や開口部などが決まっています。

そしてこのエントランス内の左側に見えるテーブルの上にはこの建物の模型と安藤忠雄のスケッチや建設中の写真などの資料が並んでいます。

ルネスホール側から見るとこんな感じに見えます。

通りを挟んだところから。ルネスホール側に大きな開口部を設けているのがわかりますね。ルネスホールへの入口は写真左の低層の妻側から入ります。正面をそのまま保存しているところも評価に繋がったのでしょう。

色褪せてしまっていますが、なかなか面白いです。六本木の新国立美術館で開催された安藤忠雄展では見られなかったようなスケッチがあってGOODでした。

工事中の写真も面白いアングルで残していたりします。左下の写真はルネスホールとの関係性を意識しているのが窺えますね。

こういう記録は取っておくべきだなと思います。出来上がった写真だけでは分からないことたくさんあるんですよね。建築家はどうやって作るかも提案出来ないといけないですからね。

平面プラン。四角と楕円の構成。

上階の平面プラン。屋上庭園があるんですよ。

エントランス内部です。奥に職員の方がいます。流石にここから先は進みにくいなと思いつつ周りを見ます。内部の壁はコンクリートで型枠とPコンの割付が上手く計画されていて、配置柱部分のコーナーは面が取られています。

さて、信用金庫ですし、このエントランスまでで見学は終わりかな・・・と思ったところ、なんと職員の方からお声を掛けていただき中を見れることに!!天井を見上げる怪しさが功を奏したのか、本当にびっくりしました。写真もOKとのこと。皆さんお優しい。案内付きで見て回れることになりました。

お話を聞くと見学はよくあることらしい。安藤忠雄ブランド、あるいは良い建築ということで来館者が増えている、(見学者だけでなく信用金庫の利用者も増えている)ということであれば建築に関わる者としてとても嬉しく思います。

案内してくださった方も慣れているのか、建築にまつわるエピソードも話をしてくれます。本来の業務では無いのにお時間を取らせてしまい申し訳ないと思いながらそそくさを回りました。

まずはざっくりと構成を見ていきましょう。

 

まずはエレベーターで最上階まで行きます。上階のエレベーターホールはこのような作り。押しボタンのインジケータ―が埋まっていて、その上下端部が型枠のラインと揃っていることからしっかりと検討されたことが窺えます。エレベーターは製作に時間がかかるので、通常、この躯体関係の図面よりも早く承認して工事を進めます。その段階から躯体の図面も一緒に確認していたのでしょう。

左手側に行くと外に出ることが出来ます。そこから外部の階段を通り下階のフロアに行くこともできます。その先にはセミナールーム等あったのですが使用中で写真に残せていません。

エレベーター側からホール・ラウンジを見ます。楕円曲面のコンクリート壁です。二本のスリットが入っています。天井の間接照明にスタンド型の照明、家具もいい感じです。質の高い設えを感じます。

このホールから外に出ると、屋上庭園。家具をしまうところも無いと思うので、雨の日もこんな感じなのでしょう。

外部で使用できるような素材や造り。ここでお客様にお待ちいただくのでしょうか。

晴れた日はここでビールを飲みたくなる人、絶対いますよ。

2階部分の会議室です。実はこの左手側が吹き抜けになっています。下は待合スペース。そして外部は外観時にも見た大きな開口部があり、隣のルネスホールを見ることが出来ます。私が行った時は、ロールスクリーンで隠れていて残念ながら関係性をストレートに感じることが出来ず。

正面のガラス張りの会議室には壁面に安藤忠雄のスケッチも見えます。

これが開口側、吹抜け側を見たところ。ロールスクリーンが掛かっています。手摺の端部は壁から控えを取っていました。

会議室内のスケッチのアップ。ここにあると話題には上りそうですね。
右上の方にタリーズのテーブルナプキンへのメモが飾っています。
タリーズで何か思いついたようです・・・というのは鉄板の話題なのでしょう。

他の会議室も案内していただきました。
それぞれ個性を持たせた会議室になっていて、仕上・家具も高級感のあるものばかり。

木の設えもあって少し驚きました。

1階のエレベーターホールに戻ってきました。
このホールも吹き抜けていて、コンクリートの壁の存在感がすごいです。
少し神聖さを感じる空間でした。
こういう時に気になるのがどういう品質管理で打設したんだろう・・・という点。目玉の空間なので、打継やコールドジョイントが無いかをチェックしちゃいます。
うん、目立ったものはありませんでしたね!
コンクリート打ちっ放しは打ちっ放しと言いつつ、ほとんどが補修なり、仕上げの塗装がされているのが普通ですから。
でも開口部などの角からヘアクラックがあっても良いと思ったんですが・・・無かったです。さすが。

コンクリートの色が変わっているところで打ち継いだんだな・・・と予想します。

安藤忠雄のディテール

細かいところ見ていきましょう。
これは屋上部分の側溝の上に置くグレーチングです。
意匠性に配慮したグレーチングになっています。

楕円空間の周囲の廊下から街並みを見ます。
岡山電気軌道が見える立地なので趣があります。
写真には電車は見られませんが。(笑)
サッシと床レベルはフラットになっています。
右側には消防の火災報知器の押しボタン。

間接照明部分を見上げます。
高さ方向に深さがあります。
天井高さが厳しい建築はたくさんあるので間接照明は高さ方向に上げられないものも多いのですが、これは200近く確保しているように見えます。

エレベーターホールの天井部分です。丸い点検口、なかなかお目に掛かりません。ユニオンの丸い点検口だと思いますが、等間隔に並んでいます。おそらく点検に不要なダミーが入っていると思います。

ちょっと気になったので一枚。廊下側にドアクローザーがついています。通常は見た目を気にして廊下側には出さないと思いますが、引っ込んでいる部分なので、廊下側に出したのかもしれません。

アールの部分から下を見ます。サッシ部分は空調の吹き出しでしょうか。

ここでも天井を見上げます。間接照明のところ、よく見ると天井の奥の部分が見えます。この渡りのところは配線や配管隠しになっていると思います。全部塞がなかったのは換気のためなのか・・・少し謎が残ります。

屋上庭園周辺や周囲の緑化には自動灌水が展開されています。これは螺旋階段のもの。

ルネスホール側を見ます。木があると思うのですがこれが待合側の開口から良く見えるそうで、評判が良いとのこと。

シャッターの納まり。袖壁部分は網入りガラスを使っていました。透明な耐熱強化ではなかったのがちょっと意外です。ガイドレールはステンレスの円柱形。

 

建具の枠は基本上まで通して欄間はパネルにしています。

押し棒と消火器BOX。そしてここもドアの上は欄間パネル。

楕円内部のホールを見上げます。意外とコンクリートの表面が光沢があります。これは後から塗装しているのか、それとも型枠の残置期間が長かったのか。(型枠の残置期間を長めにとると光沢のある表面になりやすいです。品質はこちらの方が密実で耐久性が高いとされています。)

RCの壁を見ます。

ロールスクリーンの取付け箇所。かなりどうでも良い写真ですね。BOXの深さはあまり無いようです。

楕円の空間の端部は照明だけではなく、床吹出口になっていました。左の部分が一段下がっています。中央のおそらく点検口と思われるものは一部カットされていました。

さいごに

トイレ!・・・行きそびれました。

いつもなら行くのですが案内いただいていたので完全に失念です。

トイレのデザインはどうだったのか・・・。

惜しいことをしたなーと思いつつ、案内してくださった職員の方にお礼を言って後にしました。

セミナールームが使用中で写真に残せなかったり、ルネスホール側を待合側から見れなかったりはしていますが問題無しです!

案内してくださっただけで嬉しかったので、それだけでも非常に満足。エンドユーザーにこの建築の良さというか理解がある雰囲気が滲み出ていて、その空気が良かった。

次に向かうは岡山県庁、あのル・コルビジェの弟子でもあった前川國男の設計です。

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