ダニエル・リベスキンドの設計『香港市立大学のメディアセンター / Run Run Shaw Creative Media Center』3/3

リベスキンドの納まり

具体的にリベスキンドの納まりを見ていきましょう。

 

階段の手摺です。点字が打ってありますね。かなりの厚みのある鋼材で作られています。

素材もそうですが、寸法にかなりの特徴があります。

壁面から一番遠い手摺の内面まで140mm。日本の建築基準法の場合、これだけ大きな手摺になってしまうと、『階段の幅』は手摺の内側の寸法で見ることになってしまうので、100mm未満で作られることが多いのです。そのため、日本ではあまりみられない大きなサイズの手摺、ということになります。

この手摺、幅もそうですが縦方向『見付け』も結構な寸法がありますね。縦方向も大きな寸法にしてしまうとかなりゴツい印象があります。

手摺はゴツい方が強度があって安心かもしれませんが、構造的に過剰であったり、細い方が美しいと考える設計者が多いので、日本ではより細くしようとする設計者が多いです。

リベスキンドは自分を貫いている感じがします。

この縦寸法ですが、実は他の部材と揃えてデザインされています。

サッシです。

3階ホール・展示スペースのサッシのコーナー部の接写になります。

『見付け』の寸法が手摺の『見付け』寸法と一緒なのです。

なぜここまでの寸法にする必要があるのか。その理由の一つとして、ブラインドが内臓されていることが挙げられると思います。

ブラインドが収納されているスペースのブラインドBOXやカーテンのレールが収納されるカーテンBOXと呼ばれるスペースは、製品にもよりますが、100×100程度の寸法は欲しいところです。思った以上にスペースを取りますし、デザイン・施工性への影響も大きいです。

このコーナーの接写からブラインドが内臓されていることがわかると思いますが、このサッシの枠の中に納めていることで、ブラインドBOXが不要になっています。

もし、サッシの枠と別にブラインドBOXを設けようとする場合、『BOXをサッシ枠の手前につける』or『天井の中にBOXのスペースを作る』ことになります。

※他のやり方もありますが、コンクリートの壁厚を変えたり、乾式の壁を作ったりとかなりデザイン性が変わるので省いて説明します。

 

ブラインドを収納するため、サッシの『見込み』(奥行き)の寸法は結構ありますね。

この太めの見付け寸法は外部の手摺も同様でした。

バルコニー部分は二重床になっています。周囲は高木が多かったので、落ち葉による雨水ドレンの詰まり防止を考えてでしょうか。

 

 

続いて天井関連も見ていきましょう。

共用部の廊下です。

天井が白いところと黒いところがあります。

白いところには、スプリンクラーと非常放送と監視カメラなどがついています。

黒いところは空調の吹き出し口が見えますね。一段高く折り上げています。

折り上げ部のシャッターも黒く塗装されています。

壁側は隙間がありますが、防火シャッター部分はしっかりと区画されているようですね。

このあたりは見ようと思えば見えるところですが、綺麗に作られていません。割り切っていますね。

研究室内も天井無しで設備は露出です。机の配置換えなどにも対応できるように想定しているのでしょう。グリッド状に設備が配置されています。

音楽スタジオです。廊下側に設けられた開口部から中を覗いていますが、防音はしっかりさているようでした。

 

 

外構です。

ただのバックのフェンスですが、ここにも斜線のデザインが。こだわりですね。

道路側にはオープンスペースがあります。ベンチはコンクリートの矩形。マッシブな塊に見える建物との調和を考えたシンプルなベンチです。

こちらは駐車場。バックスペースですね。バック部分は使いやすさを優先されているようです。塗装が剥がれていますが、低層部だけ補修が入っています。

 

こういうところにスリットを設けるのも特徴ですね。構造的にも離すのが正解です。床のタイル割りも斜めになっています。

階段回りの壁は人通りが多く、強度が要求されるので、鉄板による補強がされていました。これは手摺の下地を兼ねていると思われます。おそらく巾木も鉄板が仕込まれています。

共用部のコンセントは乾式の部分腰壁を作ってそこに内臓されています。理由は何でしょうか。後から位置や個数を変えやすいように、ですかね。コーナーガードのようにも思えましたが、配置を見るとその役割は無さそうでした。

間接照明です。躯体から軽量鉄骨の下地を出して、その両側に石膏ボードを張り、出っ張った間接照明スペースを作り出しています。かなり強引な作り方ですね。最上部の壁と天井の間にクリアランスがあるので、ここは埋められていたほうが良かったと思いますが、このような照明の発想が面白いです。

出隅と入隅の両方があるのが特徴ですが、やはり出隅は光が暗くなってしまう部分が出来ます。角をどう光らせるかというのは意外と難しいのです。角だけ斜めに照明器具を配置しようとすると照明器具が入る懐の寸法がかなり大きくなってしまいます。斜めに配置しないとなると、端部までしっかりと光る器具の選定・配置をしなければなりません。フレキシブルに曲がる照明器具を選定しても可能ですが、思ったより照度が得られなかったり、高コストだったりします。簡単なモックアップを作って確認するのが良いかもしれません。それとアクリル板からコードが透けているのは、せめて直して欲しいですね(笑)。

 

 

1階の壁に描かれたコンセプトスケッチですかね。存在感ありました。

 

以上です。

リベスキンドらしい面白さのある建物でした!

学生にどういう使われ方がしているのか、カフェやシアターを体験できなかったので、次は是非とも平日に来たいところです!

 

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ダニエル・リベスキンドの設計『香港市立大学のメディアセンター / Run Run Shaw Creative Media Center』2/3

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