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岡山建築ツアーで見た建築たち
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ということで、無駄な出費無く、ちょうどいいPPをゲットしつつも建築も楽しめそうな場所として選んだのが『岡山市』です。
岡山市って実は結構街中に有名建築家が手がけた建築が多いのです。
特に公共建築やランドマークとなる建物を時の有名建築家が手掛けているものが多い印象です。
気になるものをまとめてみました。
岡山の気になる建築年表
建築物 | 設計者 | 竣工年 |
岡山県総合グラウンドクラブ(旧岡山偕行社)
※登録有形文化財 |
– | 1910 |
ルネスホール(旧日本銀行岡山支店)
※登録有形文化財 |
長野宇平治 | 1922 |
岡山禁酒会館
※登録有形文化財 |
– | 1923 |
ノートルダム清心女子大学本館・東棟 | アントニン・レーモンド | 1929 |
岡山県庁舎 | 前川建築事務所(前川國男) | 1957 |
天神山文化プラザ | 前川建築事務所(前川國男) | 1962 |
山陽放送会館 | 佐藤武夫 | 1962 |
岡山市民会館 | 佐藤武夫 | 1963 |
林原美術館 | 前川建築事務所(前川國男) | 1964 |
岡山市庁舎 | 山下寿郎設計事務所 | 1968 |
高島屋岡山店 | 村野藤吾 | 1973 |
岡山市立オリエント美術館 | 岡田新一設計事務所 | 1979 |
岡山市総合文化体育館 | 岡田新一設計事務所 | 1982 |
岡山県立美術館 | 岡田新一設計事務所 | 1987 |
岡山シンフォニーホール | 芦原建築設計研究所・RIA | 1991 |
YKK AP岡山支店 | 高松伸建築設計事務所 | 1993 |
S-HOUSE MUSEUM | 妹島和世建築設計事務所 | 1996 |
岡山西警察署 | 磯崎新アトリエ | 1996 |
朝日新聞岡山支局 | 安藤忠雄建築研究所 | 1999 |
岡山県立図書館 | 安井・山陽設計共同体 | 2004 |
セレモニーレストラン 白桜記 | 安藤忠雄建築研究所 | 2006 |
山陽新聞社新本社 | 日建設計 | 2006 |
犬島アートプロジェクト「精錬所」 | 三分一博志建築設計事務所 | 2008 |
環太平洋大学アスリートホール | 安藤忠雄建築研究所 | 2009 |
犬島「家プロジェクト」F邸 / Biota(Fauna / Flora) | 妹島和世建築設計事務所 | 2010 |
環太平洋大学セミナーホール | 安藤忠雄建築研究所 | 2013 |
おかやま信用金庫内山下支店 (内山下スクエア) | 安藤忠雄建築研究所 | 2013 |
Junko Fukutake Hall :岡山大学Jホール | 妹島和世+西沢立衛(SANAA) | 2013 |
源吉兆庵 本社ビル | 青島設計 | 2013 |
Junko Fukutake Terrace:岡山大学Jテラス | 妹島和世+西沢立衛(SANAA) | 2014 |
岡山市市民病院 | 久米設計・宮﨑建築設計事務所JV | 2015 |
おかやま信用金庫 当新田支店 | クマヒラ一級建築士事務所 | 2016 |
お、多い・・・日帰りで検討だったのでこんなに回れないですね。
最近の有名建築家では安藤忠雄やSANAAの妹島和世+西沢立衛が手がけたものが多いのが特徴ではないでしょうか。
ちゃんと3つくらい見れれば良いや・・・と言う事で行ってきました岡山!
弾丸岡山日帰り建築ツアーのスタートです!
羽田空港から岡山空港までは約1時間20分。
空港から市内へはシャトルバスで約30分。760円。
空港から市街地へのアクセスは日本のどこでも遠い感じがします。その点、福岡は良いなと毎回思います。
なんて考えながら岡山駅へ向かうバスに乗り込みます。車内から空港を見るとこんな感じ。
岡山駅西口・駅前
さて岡山駅に着きました!
この西口ターミナルは2012年竣工、ジェイアール西日本コンサルタンツの設計のようですね。
バスは西口に到着ですが、東口側の方が栄えているのが岡山市の特徴。
今回の目的もほとんどが東口側です。
駅舎の西口側は綺麗目な屋根が掛かっています。
アイレベル(目線の高さ)からは鉄骨を立ち上げていない構成の仕方です。人が通るところをすっきりさせたい、という意図が見えます。駅だから当然ですね。(・・・と言いたいところですが、北海道の旭川駅のホームではホームから鉄骨が放射状に生えていたりするので、一概に当然とは言えません。ですが、よくやる工法の印象があります。)同じく北海道の東川小学校・地域交流センター(2014年)もこの工法ですね。
柱の頂部、鉄骨の柱脚部に白い板(ベースプレート)が見えます。鉄骨に掛かる力をその下部の柱に伝えるための部材です。柱はそこそこ太いのでRC造でしょう。屋根の架構は木造になっています。なぜ全部木造では無いのか。鉄骨だと木造よりも断面を小さくできる(構造部材を目立たないように小さく出来る)こと、コスト(木造は不燃にするとコストが高い)や納まり上(鉄骨だと放射状に支える架構が検討しやすい)なども関係あるでしょう。
見上げるとこんな感じです。
青空だと綺麗ですね。
妻側(側面側)は構造部材を外に出しているのが特徴ですね。
内部側をすっきり見せるためでしょう。ガラスの周囲にフレームも出さないようにMPG工法にしています。
西口から東口への連絡通路です。
そして東口側へ到着です。
新幹線が止まるだけあって長い駅舎です。
駅正面の通りです。
これは有名な六高生記念の像
そしてこれも岡山と言えば有名な桃太郎!
桃太郎・・・?文字が見えませんが桃太郎ですね。
きっと後付の桃の照明を重視したのでしょうが、もうちょっと良いやり方があったろうなぁ。
喫煙所です。屋根付きの喫煙所。特に何かコメントしたかった訳ではありませんがデザインの参考に撮影。
駅前はオブジェやら像やら色々とある印象でした。待ち合わせ場所は困らなさそうですね。
駅前はこの辺にして、早速建築を見に行きます。
S-HOUSE
まずは少し遠い場所。駅からバスに乗っていきます。
目指すは、『S-HOUSE』です。1996年竣工、妹島和世の設計で住宅です。
今はミュージアムになっています。
S-HOUSEは別の記事で書こうと思います。
S-HOUSEを後にして道行く景色はこのような感じ。
市街地を離れているのですぐ近くに自然があります。
次の建築を目指す途中で出会った岡山市南区役所。誰の設計かは分かりませんが、ポップな区役所。
岡山市総合文化体育館
せっかく岡山市の南側に来たので、次に目指すは、『岡山市総合文化体育館』です。1982年竣工、岡田新一の設計です。
これも別記事で書こうと思います。
岡山大学Jホール(Junko Fukutake Hall)
次に目指すは2013年竣工、SANAA設計のJunko Fukutake Hall、通称Jホールです。岡山大学の医学部にあるホールです。
これも別記事で書こうと思います。
お目当ての建築間移動の時に見かけた建築たち。
ほっとプラザ大供。詳細不明ですが市で使っている施設のようです。
特に屋上が変わったデザイン。
JA岡山。なんと凹凸の無い立面ファサード。横連窓が特徴的です。建物内のプランがイメージできちゃう外観です。
岡山市庁舎
市庁舎の前も歩きました。1968年竣工。山下寿郎設計。(山下設計の創業者です。)
左に見えるのは議場。
市庁舎隣接の議場です。古い建物ですが、綺麗に使われているなと思います。
山陽新聞社新本社
山陽新聞社の本社です。2006年竣工、設計は日建設計。
2008年BCS賞も受賞していて、建築界でも評価が高いです。
外装仕上げを見るだけで重厚感があり、ランドマーク的な存在になっています。お金が非常に掛かっているのが伺えます。
この建物における庇は特徴のひとつです。大きく庇を出すために鉄骨フレームを組んでいます。こういった高層の建物でコンクリートだけでここまで跳ねだすのはあまりしたくないですね。小口も綺麗に見せたいですし、端部も型枠にしてしまうと施工も大変なので、鉄骨フレームは納得です。
大きく庇を出すことは、日差しを遮り省エネなども考えることが多いですが、こちらは西面なので、日差し対策の効果はあまり期待できないので意匠性の意味合いが強い庇です。
ここまで庇を出すと当然、地上レベルから軒裏が目立ちます。
庇の軒裏はコンクリートにランダムにつけられた目地のようなものが見えます。本実型枠のように見えますが・・・近くで見ないと確信は持てませんでした。
外壁はPC(プレキャストコンクリート)にモザイクタイルを埋め込んでいます。色も特注色のようですね。
そしてこのピロティ空間。16mの高さがあります。
開放的な広場になっていて、奥には低層棟が見えます。低層棟は上階側をセットバックさせて空が見える範囲を広く取っています。植栽も配置することで、圧迫感を和らげ、人を引き込むようなつくりになっています。
ベンチの配置も意図的にずらすことで、歩道を歩いている人にとってベンチが広場の中に入りにくいような境界線にならないように工夫していると思います。
建物への入口です。
ここにも大きな庇が伸びています。
庇の先端が浮いていて、支える柱がありません。
よくみると断面はH型になっていて左右に3つずつ四角い何かがあります。
この左右の部分はスラブ(床)扱いではなく、梁になっています。この梁には鋼線が入っていて、テンションが掛けられている構造になっているでしょう。それによってこの重いコンクリートの跳ねだし庇を実現しているプレストレス構造の庇と思われます。
ピロティ下なので、雨避けの効果はそこまで期待できないところなので、これも意匠性のため設けられたものですね。
こういう跳ねだすデザインは不安を与えるデザインですが、意匠設計者はやりたがるんですよ。同じ日建設計の設計ですとホキ美術館が有名ですね。
低層部のコンクリート打ちっ放しのところを見ると目地が深いのと、本実型枠であることが良くわかります。
目地の深さは15mmくらいでしょうか。目地底には(おそらく)シーリングが施してあります。コンクリートはどうしてもひび割れる性質があるので、そのひび割れをこの目地部で発生させ、発生した目地から雨水が入らないようにシーリングをしておくのです。もし、雨水がひび割れ部から入ってしまうとコンクリートの中の鉄筋にまで到達し、鉄筋が錆びて、膨らんでコンクリートが内側から破壊される恐れがあるからです。
意匠的には目地を目立たせるために深目地にしていますね。コンクリートは目地を取っているけれどもシーリングで見た目はフラットにする、というデザインもあります。あまりやりたがる設計者はいないと思いますが。
「(おそらく)シーリング」と書いたのは、もしかすると埋め込みで違うシーリング材のようなものを入れている可能性があるからです。形状を見るとその方が可能性が高いかもしれません。
外壁タイルのアップです。PC外壁なので、目地の中央部に水抜き穴が見えます。PC外壁は止水ラインが2重になっていることがほとんどです。万が一、外側の止水ラインのシーリングが破れ、そこから水が入っても、内側にある2つ目の止水ラインで漏水を食い止めて、この水抜き穴から排水するのです。PCも深目地の納まりで検討できますが、合理的な納まりではなく、構造的にも意匠的にもコスト増になり、施工も難易度が上がるので普通はやりません。
それにしてもタイルの色合い・形状を見ると力が入っているのが伺えます。
北側面です。バックヤードになります。この面を見るとPCのタイルがわかりやすいですね。横に走る白いラインのタイルがこの外壁デザインのリズムを作り出しています。コンクリート打ちっ放しの本実の向きと統一感が出ていますね。
おかやま信用金庫内山下支店
次に着いたのは2013年竣工、おかやま信用金庫内山下支店 (内山下スクエア)です。安藤忠雄の設計です。これは非常に良かった。何が良かったと言うと、ここにお勤めの皆様方が素晴らしい方々でした。
別の記事で書こうと思います。
岡山信用金庫を後にして、街中を歩きます。
この商店街を通っていきます。
目指す先は岡山県庁!
岡山県庁舎
岡山県庁についても別記事で書こうと思います。
ここは岡山の顔というべきエリアになっています。
見えますか。奥に岡山城が見えます。
向こうに歩いていきます。
県庁の目の前の交番。少し不思議なデザインですね。
もしかすると著名な人の設計かも・・・と思いつつ少し調べましたが解りませんでした。
梁が特徴的ですよね。おそらく何度か壁を塗りなおしていると思うのですが、飛び出した梁の塗装の仕方を変えているところを見るとここがデザイン上で重要だとわかっているのでしょう。
岡山県立図書館
県庁の目の前は図書館。
2004年竣工、設計は安井・山陽設計共同体です。
この図書館もきっといい感じだなぁと思いつつそそくさと通り過ぎます。
林原図書館
1964年竣工、前川國男設計の林原美術館です。正面だけ見て通り過ぎます。
岡山市民会館・山陽放送会館
次に見えてきたのは、1963年佐藤武夫による岡山市民会館。
そして対面にある1962年山陽放送会館。これも佐藤武夫です。
そういえば駅で旭川を思い出しました。その旭川の市庁舎は1958年佐藤武夫の設計だったことも思い出し、勝手に岡山と旭川の繋がりを感じました。
旭川市庁舎は建築学会賞も受賞したことがあり、DOCOMOMO100選というのにも選ばれている建築界では有名な建築です。老朽化・耐久性の問題もあり、旭川市庁舎は生まれ変わるみたいですが、どのようになるか・・・楽しみではあります。
こんな感じで手前に岡山市民会館、奥に山陽放送会館が見えます。
休憩で立ち寄った石山公園から岡山城を望む。
うむ。橋の端部から伸びる黄色いプラスチックの何かが非常に景観を邪魔しています。
電線カバーでしょうか。だとすると近くで何かしらの工事が行われる予定でその保護のために電力会社がつけるものなのですが、工事があるように見えません。
とりあえず、無い方が良いのは間違いありません。
そして岡山市の中心部を流れるこの川。
なんと名前は旭川!(読みはあさひがわなので違いはするが)
偶然にしては出来すぎてる岡山と旭川の繋がりに魂が震えました。
岡山シンフォニーホール
次に見えてきたのが、岡山シンフォニーホール。1991年竣工、芦原義信とRIAの設計JVです。
場所が良いのでかなり目立ちます。紫色でのっぺりとした外観で横連窓。JA岡山を思い出しました。
芦原義信と言えば『街並みの美学』です。この本は面白いですよ~。街を見る視点を与えてくれます。建築に関わらない人でも楽しめると思います。
その芦原義信の設計で、この外観。この街に与える景観への影響・・・考えさせられるものがありました。
岡山禁酒会館
この近くにぽつんと佇むのが『岡山禁酒会館』1923年竣工。有形登録文化財です。
飲酒する場所なら分かるが禁酒の会館?どういう人が集まる場所なのか。
これは建設当時の社会的な背景が関係しています。
建設当時は悪景気。社会不安に対して次第に飲酒に逃げていく人々が増えるようになりました。増えていく飲酒に対して禁酒活動家が禁酒の拠点を作ったのがこの場所、ということです。本当は写真右側に広場があり、その広場もこの禁酒会館の一部なのですが、完全に取り忘れです。飲酒が好きだから敢えて撮らなかった訳ではありません。
建物としては、ドイツ風の壁と白のタイルが特徴となっています。木造で寄棟造、屋根3階部分で折れているのも特徴ですね。
岡山は空襲に遭った際に市街地の歴史的建物が多く失われましたが、この禁酒会館は残った建物としてその価値が評価されています。中も色々な展示があるようです。禁酒したい方は是非訪れてはいかがでしょう。
岡山市立オリエント美術館
次は岡山市立オリエント美術館です。1979年竣工、岡田新一設計。
道路を挟むと木が多くて建物が見えません。
朝日新聞岡山支局
次に来たのは朝日新聞岡山支局、1999年竣工、安藤忠雄設計です。
きれいなプロポーションですね。個人的には「低層部で左右に通しで入っているコンクリート目地」と「出入り口部のフレーム」との間のコンクリート幅と庇のコンクリート幅を合わせたい気もします。
この右に見える壁と上の庇が同じ幅なので、下の写真のサッシとサッシの間の幅を揃えたくなる、という意味です。
クラックの状況、サッシ周りの納まりを見ます。上のサッシはサッシが外壁から出ているサッシ勝ちになっています。下のサッシはコンクリート勝ちですね。
バック側です。20年ほど経ってこの状況。ベンドキャップ下やサッシのコーナー部から汚れが垂れるのは仕方ないですかね。タラップの付根からは錆び汁が出ているのが分かります。おそらく鉄製で取り付け後に塗装しているからでしょう。コンクリートに埋まっている部分は塗装をしていないので、付根部分から水が入って錆びてそれが外に出てきたのかもしれません。雨樋が塩ビのグレー色なのでそれに合わせて縦に伸びるものは同じ色で塗装したかったのでしょうか。
しかしこのタラップ、細い上に背かごがありません。これを3層上るのは怖いですね・・・笑
背かご付きのステンレス製にしないあたり、こだわっているのが分かりますが、サッシとベンドキャップが標準の色なのは謎が残ります。
こちらもバック。建具や出入り口のフレーム色はダークグレーです。後ろ側も綺麗でした。
明治安田生命岡山ビルです。たまたまバス待ちの時間に出会った建築。ノーマークでしたが、ちょっと面白い外観でした。
サッシから少し離れたところに白いフレームがあり、面白い表情をしていると思います。写真では伝わらないかもしれません。
こういう市街地の貸しオフィスではなるべく床面積を取るように設計し、事業収支を考慮するのがセオリー・・・というか発注者の要望として最優先されることが多いですが、遊びが感じられます。
1970年竣工のようですが、設計者が誰かまではわからず。
岡山大学Jテラス(Junko Fukutake Terrace)
次にバスで向かったのは、
岡山大学Jテラス。2014年竣工、SANAAによる設計のカフェです。
これは別記事にします。
もうだいぶ日も傾いてきたので、駅へ向かい始めます。
面白い壁の仕上げに出合ったり。
(ジップアリーナ岡山。2005年竣工、東畑建築事務所設計。)
変わったコンクリートの仕上げを発見したり。
東京でも流行のECP(押出成形セメント板)の仕上げだけ変えたデザインのビルを発見したり。(見る角度によって表情が変わるんですよ。)
〆は小豆島ラーメン。ご馳走様でした。
岡山日帰り建築ツアー。これにて完了です。
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