香港の紅磡(ホンハム)エリアの西側に位置する「ホテル・アイコン」、非常に満足度が高かったのでおススメしたいです。アート・デザインカルチャーの香港を感じる拠点としては最高だと思います。建築家ザハ・ハディド設計の香港理工大学ジョッキー・クラブ・イノベーションセンターを見に行く拠点としてもGOODの5つ星ホテルです。
ホテル・アイコンの特徴
特徴はなんと言っても「香港理工大学が経営していること」、「大学卒業生の技術を結集していること」この2点です。
香港理工大学はアジア大学ランキングで20番前後。日本で言うと地方旧帝国大学レベル(大阪大学、名古屋大学、東北大学、北海道大学、九州大学)の大学です。
もちろん著名な卒業生も多く輩出しています。
設計者は建築家ロッコ・イム。主宰しているRocco Design Architectsは約150人のスタッフが所属し、深センにも事務所を構え、現代建築がひしめき合う香港でも実力のある建築家集団です。
大学が経営している、と言ってもスタッフはフロントからウエイターまで全て学生。大学が経営しているというより、学生が運営しているホテル、と言った方が正しいのかもしれません。
まぁ学生だし、サービスもそんなに・・・と思いきや、接客も対応もハイクオリティ。
非常に良いステイでした。
立地と外観
場所は紅磡(ホンハム)駅から徒歩で7分くらい。このあたりは密度の高い香港の中でも比較的オープンスペースのあるエリアなので部屋も広いです。ペデストリアンデッキを移動して向かいます。
駅から来るとこんな感じでそびえ立ってます。立体的に表情のある建築です。こちら側は交通量が多いので、入口は一本裏側へ入ったところになります。
反対側に回った様子です。見えてきました。
ちょっと離れたところから見るとなんと中空部分があります。低層部のエントランス空間はガラスのカーテンウォール。かなり斬新なファサード(立面)でカッコいい。
まずはチェックイン。
大きな階段と特徴的な家具のあるエントランス空間。くつろぎの場所です。
チェックイン後に案内されたのは待ち合いスペース。早いチェックインだったので、少し待たせてしまうとのこと。荷物を置いて出掛けますか、待ちますか、と聞かれ「待ちます」と返答し、案内されたのがこのラウンジです。上質な感じの空間。貸切です。
フリードリンクバーもあります。エスプレッソをいただきながら高速Wi-Fiを使って今後の予定をチェック。
あっという間に時間が過ぎ、今回泊まる部屋に案内されました。
高級ぶらないセンス溢れる客室
さっそく部屋に入ります。おおー広い。雰囲気も良いです。パズル調のタイルカーペットが特徴的。
入口側を見ます。左側の壁がちょっとアール型になっていてその中に水回りがまとめられています。右側の廊下部分は全身鏡と収納スペースになっています。
水回り側を見ます。洗面エリアの奥に不透明ガラスが見えます。その奥がトイレになっています。バスタブも右側に少し見えますね。アール状の扉の裏側にはシャワールームがあります。
水回り側からベッド側を見ます。開放感があって、デザインの質が高く、既に満足感が高いです。素材の質じゃなくて総合力で来る感じが好印象。
天候は悪かったですが、ハーバービューなので街並みが良く見えます。天気が良いとビクトリアピークまで見えて絶景でしょう。
夜になると綺麗な夜景です。
ガラスと大理石の水回り
水回りを見ていきましょう。まずはバスタブ周囲。TVつきです。金物は鏡面SUS(ステンレス)。全面鏡張りになっていて、シャワールーム側が反射して見えています。バスタブ側はあくまで湯船に浸かるだけ。シャワーはシャワールーム側でどうぞ。
その反対側のシャワールームです。こちらもSUS系の金物でまとめられています。
外から見るとこのようなガラス張り。
洗面エリアとトイレ側の仕切り。水回りとベッドルームの間は扉で仕切られていましたが、トイレはOPENです。
トイレとバスタブ側の仕切りです。こちらも不透明ガラスです。
トイレ上部側の写真です。不透明ガラスだけでオープンなのがわかります。
バスタブの上部。換気扇の範囲が大きいです。こっちは吸込側。点検口は額縁タイプなのが意外でした。(意匠設計者は目地タイプという縁の部分が細いものを好む傾向にある。)
水回りの入口です。洗面はベッセル型。面台も壁と同じ石でまとめられています。
水回りとベッドルーム側を仕切る扉の足元。引き残しが100mm程度。扉にはレールが無いので吊られていることがわかります。シャワー側を見ると排水口の蓋が扇形になっていますね。
トイレと洗面の仕切りのガラスのアップ。約15mm。面取りがしっかりされています。
最新の機器とビジネスにも配慮した設備
使用後感たっぷりですが、デスク周辺です。なんとプリンターがあります。ビジネスマンにとっても良い拠点となること間違いなし。
デスクの上にはUSBを始め色々な出入力用の設備も完備です。
革張りのデザイナーズチェア。
変わったデザインのスピーカー。最先端のデザインのモノに触れられる新鮮さを感じることができます。
横の木製のケースには宿泊者が使用できるスマートフォンが備え付けられています。
使用料はもちろん無料。電話もネットもテザリングもOK。これがあれば、レンタルwi-fiも不要です。
また、ホテルからは中心街の尖沙咀 (チムサーチョイ)まで無料の往復シャトルバスが出ていますが、その運行時間チェックにも使えます。地下鉄で中心部まで行くと意外と時間が掛かるのでこのシャトルバスの使い勝手が良いです。
お茶・菓子等も無料。
ベッド上ですが、梁型は内装デザインに合わせています。窓際の点検口の中心にダウンライトがあります。日本ではまずやらないような納まりですが、香港では結構見かけます。
カプセル式のコーヒーメーカーもあります。もちろん無料。部屋の中のものはミニバーから何から無料です。
同じく香港のリッツカールトンは有料だったので、知らずに飲んでしまったシャンパンで1万5000円取られてしまったのは良い経験でした。アイコンはその点の心配が一切無いので旅行者に優しい。
全身鏡と収納スペースの足元です。
収納内部にはドライヤーと傘が鎮座。
アイロンとアイロン台も備えてあります。日本の狭いビジネスホテルだとズボンプレッサーが共用廊下にあったりしますが、アイロンセット備え付けはびっくりしました。
上部には枕入れ。
ハンガーも掛ける物に合わせて数種類完備。
入口のレバーハンドル、錠前部分。
天井を見上げます。ダウンライトの形状がコンパクトです。
アール壁の吊り扉の納まり。
アート溢れる共用空間
客室内部はこの辺にしてホテルの設備を見ていきましょう。
3階レベルから1階のカフェ・バーエリアを覗きます。おしゃれな空間です。右側に見えるのはこのホテルでも目玉の一つ、バーティカルガーデンです。これはフランス国立科学研究センターの植物学者パトリック・ブランクによるものです。
全面ガラス張りなので、外の風景が良くわかります。右の壁面にはバーティカルガーデン。
この吹き抜けガラスボックスの上部。アルミパネルとスプリンクラーの取り合いが大変そうな納まりです。
朝食のレストラン会場に行くまでの空間です。
吹き抜けのガラス面にもアートが。ハン・チョンによるDAO GIVES BIRTH TO ONEという作品です。
吹き抜けからエントランスを覗きます。この綺麗な階段のところには行けなかったのが残念。
朝食会場。カメラの調子が悪く光がブレていますがお許しを。内装デザインは木を中心とした格子のデザインです。
これはレストランエリアの一部の写真ですが、広さは中々のものです。
木の格子の奥にはタイルがありました。奥が抜けているように見えるところ、実は鏡面です。
さいごに
建築的には建物全体の構成が特徴的でした。エントランスがガラスボックスでその上部は風が通る構成。斬新過ぎます。こういった建築は事業採算性を重視する日本企業ではまずしないでしょうね。香港ならではです。
設備的にもセンスが光るチョイスが多かったと思います。これは何だろうと惹かれるものが多かったですね。
センスだけでなく若さも感じ、元気が貰えるような雰囲気を味わうことができました。是非とも体験していただきたいです。
2011年から運営しているホテルですが、まだまだ香港で前衛的なホテル。リッツカールトンよりもコストを抑えて良い所に泊まりたいという願望に必ずや応えてくれるでしょう。建築・アートに興味のある方は是非一度訪れてみてはいかがでしょうか。
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